2013年9月13日金曜日

■半沢直樹と西行法師、そしてキプリング

まず、この詩を共有させてください


ラドヤード・キプリングの詩「if」から、
心に響いた節の抜粋を意訳したものです

原文はコチラへ(英語です)
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 もしも、
 全ての人があなたを疑っていても
 あなたが自分自身を信じることができるなら
 あなたを疑う人々を赦すことができるならば


 もしも、
 あなたが夢をみながら
 その夢に支配されないでいられるなら

 もしも、
 あなたが考えることができ
 その思考自体を目的としないならば
 
 もしも、
 あなたが栄光と破滅に遭い
 両者とも同じ幻として観れるならば

 もしも、
 あなたが語った真実が
 悪意でねじ曲げられ伝えられているのを聞いても耐えられるなら


 もしも、
 群衆と話しながら、
 あなたの美徳を保つことができるなら
 社会的地位を得ながら、庶民と親しむ態度を失わないなら

 もしも、
 敵も友もあなたを傷つけることができないならば

 もしも、
 あなたにとって全ての人が大切で
 かつ誰かが特別に重要というわけでもないならば

 もしも、
 人生の大事な1分を、
 マラソンの60秒と同じに扱えるなら


 あなたは全てを手に入れている

 そして、それだけではない、
 あなたは”人”になろうとしているのだ

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 ↑↑
(ちょいちょい節をジャンプしていますが、お気になさらず)


誤解を解こうと説得することや、
交渉ごとなんかで疲れた時、

肩の力をごっそり抜いてくれる詩です



今日は、
この「if」から受け取ったメッセージを軸に、
ある二人の男性のことを考えました



その二人の男性とは、

「半沢直樹」 と 「西行法師」 です。



まずは、半沢直樹 氏ですが

2013年話題のドラマの主人公で、
名前がそのままタイトルになっています。



うちの両親も、面白がってます




「部下の手柄は上司のもの、上司の失敗は部下の責任」

そんな上司に対する

「倍返し」 や 「十倍返し」

といった台詞が流行語になりつつありますが


視聴後、なんとなく苦みが残る…(このほろ苦さが後を引いているのかな・笑)


半沢直樹が、まっすぐに闇に切り込み、後に引かない姿、
友情に厚い姿、奥様とのパートナーシップ、
確かにかっこいい


だけど、
キプリングの詩のフィルターにかけると、

半沢直樹も悪役達と 「同じ穴のムジナ」 と見えなくもない(怖)…
そうすると、彼は結局、何も得ず、人にもなれず、ということに…

このドラマが悪党退治と復讐劇で終わるのか?
それとも、別なテーゼが掘り起こされるのか?
という意味で、どんなクライマックスを迎えるのか楽しみです



そして、二人目の西行法師

この白さがまた"らしい"というか


「半沢はん」とは反対で、
いわれのない暴力や濡れ衣にも反論せず、説得もせず、
ただひたすら淡々と処した逸話が残っています


作られた部分も多数あると思いますし、
実は別人が書いたものだった、という書物もありますが、

「西行」の名で語り継がれているということは、
西行法師の存在が、ある種のアイコンとなったのは確かですよね


きっと、西行本人が、
「if」のように、我にこだわらなかったからこそ、

その懐の中に人が語り継ぎたい何かが放り込まれて、
「西行像」が作られたのではないか、とも考えたりします


(そんなこと私は教えていない!とか、
 それは私が書いたものだ、とか、こだわらなさそうなイメージ…)



「半沢直樹」は有能で優秀で、
現代版ヒーローかと思いますが、


一見冴えないようで、実はすごい
「西行法師」像の味が分かる自分でいたいな…と思います



そんな西行さん(※イメージ)の

「修行中ちょっと人恋しくなって人骨から人を作ってみたけど、
 やっぱなんか違うし、捨ててきた…(´・ω・`)」

なんていう、修行奇譚、ご存知ですか?
”修行者”のどこか固いイメージをブッ飛ばしてくれますよね

参考: 撰集抄 (岩波文庫) (せんじゅうしょう / 西尾-光一 校注)


久々に読んでみようかな


この「if」ほどの高潔な人になれずとも、
そうなろうともがく西行のような人でありたいと、と最近しみじみ思うんです

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